歴史の概観
文化の代表は『万葉集』と仙覚律師
仙覚律師が難解で読めなかった万葉歌を生涯をかけて読み解き、最後に取り組んだのが、難解な歌の解読でした。それが我国で初めての解読書となった『万葉集註釈』です。1269年(文永6年)、現在の小川町域「麻師宇郷(ましうごう)」でなしとげられました。仙覚67歳のときです。仙覚抄(せんがくしょう)と呼ばれる『万葉集註釈』第二巻の奥書に、文永6年3月2日「武蔵国比企郡北方麻師宇郷」で書写したとあります。さらに第6巻と10巻には麻師宇郷の「政所」で書写したと明記してあり、仙覚は麻師宇郷を管理する領主の館にいたことがわかります。この仙覚と小川町の関係を示す史料は、小川町が仙覚を通して『万葉集』のゆかりの地であることを物語っています。